スマホはなぜ線がないのにネットにつながる?電波を受け取る仕組みを図解

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スマホはケーブルにつながっていないのに、Webサイトを見たり、電話をしたりできます。

当たり前に使っていますが、考えてみると不思議です。目に見えない「電波」を、手のひらサイズの機械がどうやって受け取り、文字や声に戻しているのでしょうか。

この記事では、電波の正体からスマホのアンテナ、基地局との通信まで、身近なたとえを使って順番に整理します。

今回の疑問:スマホはどこで電波を受け取っている?

この疑問を持ったきっかけは、地下やエレベーター、山の中でスマホの電波が弱くなることでした。

普段は問題なくつながるのに、場所が変わると急につながりにくくなります。そもそも電波とは何で、スマホのどの部分が受け取っているのでしょうか。

昔の携帯電話には、外へ伸ばすアンテナが付いていました。今のスマホにはそのような棒が見当たりません。それでも通信できるということは、本体のどこかに電波を受け取る仕組みが隠れているはずです。

先に結論:波に情報を乗せ、金属アンテナで受け取っている

スマホが線なしで通信できる仕組みを一文でまとめると、次のようになります。

基地局が空中へ飛ばした電波に、変化のパターンとして声や文字の情報が乗っており、スマホは本体内部の金属アンテナでその変化を受け取っています。

スマホは受け取るだけではありません。自分からも電波を出して基地局へ情報を返しています。基地局とスマホが、電波でキャッチボールしているようなものです。

そして「無線」なのは、主にスマホと近くの基地局をつなぐ最後の一区間です。基地局から先は、主に光ファイバーなどの通信回線を通ってインターネットにつながっています。

※ここに図:スマホと基地局が電波を双方向に送り合い、基地局の先が光ファイバーでインターネットへつながる全体図

電波は、目に見える光と同じ「電磁波」の仲間

まずは、電波そのものが何なのかを整理します。

電波と光は、まったく別のものに見えます。しかし、どちらも「電磁波」という同じ仲間です。違いは、波の細かさを表す周波数と、それに対応する波長です。

イメージしやすいのは、池に石を落としたときの波紋です。石を落とすと、水面の揺れが周囲へ広がっていきます。電波も同じように、発信する側が作った電気的・磁気的な変化が、空間を伝わって広がります。

もちろん、空中を水が移動しているわけではありません。池の波紋は、目に見えない電波の広がり方を想像するためのたとえです。

電波が進む速さは、真空中では光と同じ秒速約30万kmです。地球を1秒で約7周半できるほどの速さなので、近くの基地局とスマホの間はほぼ一瞬で移動します。

※ここに図:粗い波の電波から細かい波の光まで、同じ電磁波の仲間として並べた図

スマホのアンテナは、電波で電子が揺れる金属

では、目に見えない電波をスマホはどこで受け取っているのでしょうか。

答えはアンテナです。アンテナの中心となる材料は、電気を通す金属です。電波を受け取りやすい形や長さになるよう設計され、本体のフレームや内部に組み込まれています。

電波がアンテナへ届くと、金属の中にある自由電子が電波の変化に合わせて動かされます。その動きによって、アンテナにごく弱い電圧や電流が生まれます。スマホはその小さな信号を増幅し、情報を取り出します。

水面に浮かべたウキを想像すると、少しわかりやすくなります。遠くで生まれた波が届くと、ウキは波に合わせて上下します。アンテナ内の電子も、届いた電波に合わせて電気的に揺さぶられます。

つまり「電波を受け取る」とは、何かを箱の中へ回収することではありません。届いた波によってアンテナ内の電子が動き、その変化を電気信号として読み取ることです。

※ここに図:スマホ断面の金属アンテナへ電波が届き、内部の電子が左右に動く図

声や文字は、電波の「変化」に乗っている

電波が届くだけでは、声や文字を送れません。

ずっと同じリズムで続く波は、「波がある」ということしか伝えられないからです。そこで通信では、送りたい情報に合わせて波の強さや位相などを意図的に変えます。この操作を「変調」と呼びます。

懐中電灯で考えてみましょう。

ライトをつけっぱなしにすると、「光っている」ことしか伝わりません。しかし、短く点灯、長く点灯、短く点灯というようにパターンを変えれば、その変化に意味を持たせられます。

電波も考え方は同じです。送る側が情報に合わせて波を変化させ、受け取る側がその変化を読み解きます。スマホは、届いた波の変化をデジタルデータへ戻すことで、文字、画像、音声、動画などを再現しています。

ラジオのAMは主に波の強さ、FMは波の細かさを変える方式です。スマホでは、振幅と位相を組み合わせるQAMなど、より多くの情報を効率よく運ぶデジタル変調が使われています。

※ここに図:変化のない波と、情報に合わせて変化する波を並べた比較図

普段の通信相手は、人工衛星ではなく地上の基地局

スマホの電波は、どこから飛んでくるのでしょうか。

日常の通話やインターネット通信で主にやり取りしている相手は、人工衛星ではなく地上の基地局です。基地局のアンテナは鉄塔だけでなく、ビルの屋上や建物の設備など、街のさまざまな場所に設置されています。

スマホは通常、その場所で接続できる基地局と通信します。基地局までの距離は環境によって大きく異なり、都市部では数百m程度、郊外では数km規模になる場合もあります。

基地局が担当する範囲は「セル」と呼ばれます。携帯電話を表す「セルラー」や英語の「cell phone」は、このセル方式に由来します。

移動中も通信を続けられるのは、担当する基地局が順番に切り替わるためです。電車や車で別のセルへ移動すると、通信を隣の基地局へ引き継ぎます。この仕組みを「ハンドオーバー」と呼びます。

※ここに図:複数のセルと基地局の間を移動するスマホが、接続先を切り替える図

スマホは受信するだけでなく、自分からも電波を送っている

テレビやラジオの放送は、放送局から受信機への一方向通信です。一方、スマホの通信は双方向です。

基地局からスマホへデータを送る「下り」だけでなく、スマホから基地局へデータを送る「上り」もあります。メッセージの送信、写真のアップロード、通話中の自分の声などは、スマホから基地局へ送られています。

電波が弱い場所では、端末が送信電力を上げたり、接続先を探したりするため、消費電力が増える傾向があります。圏外に近い場所でスマホが熱くなったり、電池の減りが早くなったりすることがあるのは、このような処理も関係しています。

「スマホは電波を受け取る箱」というより、基地局と小さな電波を投げ合う送受信機と考える方が実態に近いです。

無線なのは、主に基地局までの「最後の一区間」

スマホが線なしで通信できると聞くと、インターネットのすべてが無線でつながっているように感じます。

しかし、無線が中心になるのは主にスマホから基地局までです。基地局から通信会社のネットワークやインターネットへ向かう部分は、多くの場合、光ファイバーなどの有線回線で結ばれています。一部ではマイクロ波などの無線回線も使われるため、必ず有線とは限りません。

全体を単純化すると、次のようになります。

スマホ ⇄ 電波 ⇄ 基地局 ⇄ 主に光ファイバーなど ⇄ インターネット

家のWi-Fiも考え方は似ています。スマホからWi-Fiルーターまでは無線ですが、ルーターから先は光回線などでインターネットへつながっています。

「線がないのにネットへつながる」の正体は、通信経路の最後の一区間を電波で飛び越えていることだったのです。

地下や山で電波が弱くなるのはなぜ?

ここまでわかると、地下や山で電波が弱くなる理由も見えてきます。

電波は、壁や地面などを何の影響も受けずに通り抜けるわけではありません。物質の中を進むときに一部が吸収されたり、反射したりして弱くなります。地下では、地面、コンクリート、金属などが重なり、地上の基地局から届く電波が大きく減衰します。

山間部では地形に遮られることに加え、近くの基地局が少ない、または遠い場合があります。届くまでに弱くなった電波を、スマホが受信しにくくなるわけです。

地下鉄で通信できる場所があるのは、電波が地上から自然に深く届いているからとは限りません。駅やトンネル内に専用アンテナを設置したり、電波を少しずつ漏らす漏洩同軸ケーブルを使ったりして、地下へ通信環境を用意しています。

このテーマは、次のエピソード「電波はなぜ壁を通るのに地下だと圏外になるのか?」で詳しく整理しています。

GPSと衛星通信についてのよくある誤解

普段のスマホ通信は人工衛星から受け取っている?

普段の通話やインターネット通信は、基本的に地上の基地局を経由します。人工衛星から大量の通信データを直接受け取っているわけではありません。

地図の現在地は基地局だけで調べている?

現在地の計算にはGPS衛星の信号も使われます。GPS衛星は上空約2万kmから時刻情報などを送信し、スマホは複数の衛星から届く信号を受信して位置を計算します。

GPSでは、スマホから衛星へ信号を送り返しません。スマホは衛星の信号を受け取るだけです。この点が、基地局との双方向通信との大きな違いです。

スマホは衛星と直接通信できない?

衛星をまったく使わないと言い切ることもできません。近年は、携帯電話の基地局が届かない場所で、緊急時のメッセージなどを衛星経由で送れる機種やサービスが登場しています。

ただし、現時点では対応機種、地域、用途などに条件があります。日常の通信では、地上の基地局を使う仕組みが中心です。

動画で電波の仕組みを見る

この記事の内容は、黒板の図解を使った横動画と3本のショート動画でも解説しています。

最初に疑問を書き出し、AIとの会話で自分が納得できるところまで整理してから、事実確認、台本、黒板図解、動画へ展開しました。動画を文字起こしした記事ではなく、文章だけでも順番に理解できるように再構成しています。

まとめ

スマホが線なしでネットへつながる仕組みをまとめます。

  • 電波と光は、どちらも電磁波の仲間
  • スマホは内部の金属アンテナで電波の変化を電気信号として受け取る
  • 声や文字などの情報は、電波を意図的に変化させたパターンに乗っている
  • 日常の通信相手は主に地上の基地局
  • スマホと基地局は、電波を双方向に送り合っている
  • 無線なのは主にスマホから基地局までで、その先は光ファイバーなどが支えている
  • GPSは衛星からの信号を受け取る仕組みで、普段のネット通信とは別

目に見えない電波も、「波の変化を金属で受け取り、基地局へ投げ返している」と考えると、全体像がつかみやすくなります。

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